ACEP 2015 報告!

2015年10月31日お知らせ

10月26日から29日にかけてボストンで行われた米国救急医学会ACEP(American College of Emergency Physicians)のannual meetingで発表した先生達からの報告です。今回は倉敷中央病院の白倉先生、Massachusetts General HospitalでResearch Fellowをしている後藤先生、そしてMayo Clinicでresidencyをしている大久保先生がJEAN registryを使って発表しました。その中から白倉先生と後藤先生にレポートを書いていただきました(なんと後藤先生の発表はExcellence in Research Awardという全ての発表の中から選ばれる最高の賞を受賞しました!)。来年はラスベガスですので、皆さん是非ともJEAN registryを使って発表していきましょう!

 

① 〜ACEP 2015, Bostonに参加して〜 倉敷中央病院後期研修医 白倉悠企

2015年10月26日~29日、ボストンで開催されたACEPの総会に参加しました! ACEPは米国救急医学会が年1回開催する総会であり、臨床研究の発表の場であるだけでなく、アメリカの救急医療のトップランナーによる数多くの講義やワークショップを受け、新しい知識やスキルを集中的に学ぶことが出来るものです。

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今回私は、JEMNetの挿管に関するデータベース(JEAN2 registry)を用いて、心肺停止患者におけるビデオ喉頭鏡の有用性に関するポスター発表を行いました。統計学的解析からAbstractの作成や発表の準備に至るまで、JEMNetの先生方の万全のサポートの下、この様な国際学会での発表の機会を与えていただきました。

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また、学会期間中に現在アメリカで臨床医、研究者として活躍されている日本の先生方との食事会が開かれ、高い目標を持ち努力を積み重ねている先生方の姿に、沢山の刺激を得ることができました。
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臨床研究に興味を抱いていても、ゼロから新たな研究を立ち上げることは、経験のない若手医師にとって大きなハードルであり、私自身何から始めたら良いのか分からない状態でした。JEMNetの活動はそんな臨床研究という重い扉を開く手助けをしてくれるものでした。既にある多施設から集められた大きなデータベースを用い、臨床研究の最前線で活躍されている先生方から直接指導を受け、学ぶ機会は他では得難い非常に貴重なものです。この様な経験を可能にして下さった、長谷川先生をはじめとするJEMNetの皆様、倉敷中央病院の岡本先生に深く感謝致します。

2015年10月31日
倉敷中央病院 後期研修医  白倉悠企

(下記はハーバード大学と近くの街並み)

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② マサチューセッツ総合病院救急部リサーチフェロー 後藤匡啓

マサチューセッツ総合病院救急部でリサーチフェローをしている後藤匡啓です。MGHの救急部の中でも研究を中心に行っている部門で、幸運にもJEMNetの代表である長谷川先生とハーバードの教授&米国疫学学会の元会長でもあるCarlos Camargo先生から指導を受けています。

ACEPは日本救急医学会に相当する学会になりますが、米国の場合、教育講演が中心のACEPと臨床研究発表が中心のSociety for Academic Emergency Medicine(SAEM)の二つがあります。Annals of Emergency MedicineとAcademic Emergency Medicineがそれぞれの団体の雑誌です。日本救急医学会はこれら二つを合わせた感じでしょうか。抄録締め切りは5月で、僕はJEAN studyを使った研究を発表しました。タイトルはFactors Associated with First-Pass Success in Pediatric Intubation in the Emergency Departmentということで、小児の挿管の成功因子に関する研究です。幸いoral presentationに選ばれました(個人的には緊張するし、質疑応答が苦手なので嫌なのですが…)。

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そして10月後半のボストンは寒い!寒風吹きすさぶなか、高い参加費を払って発表してきました。Boston Convention Centerというところに入ると、まずはどどーんと電光掲示板のお出迎え。そしてむちゃくちゃ規模のでかい企業ブース。

e-posterも結構盛り上がっていましたが、いかんせん、リサーチブースの扱いは企業ブースと雲泥の差です笑。ACEPでは発表は6分、質疑応答は2分と短く、SAEMの10分+5分に比べると大分負担は軽いです。ただしスライドが3枚までなので、内容を覚えるのがちと大変でした。日本救急医学会、アジア救急医学会と近かったので日本から参加している先生方は少なめだったようです。それでも学会中には米国で働いている先生や学会に参加した先生たちとChinatownで食事会をして交流を深めることができました。非常に盛り上がって楽しかったです。来年はラスベガスなのできっと参加者も多いはず笑 みなさん是非軍資金をたくさん持って参加しましょう!

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